新人ドクター、衛生士、スタッフの教育を最大化させるために、教育をシェアするという取り組みを始めました。
私が研修医から5年ほど勤めた日本最大の歯科医療法人では、教育プログラムが非常に多岐にわたり整備されていました。
大型の医療法人では採用、教育、事務などの体制が整っていて、独自の教育マニュアルを有しています。
当院は開業一年目の小さなクリニック。
僕一人では若手を教えきることはできないと考えています。
歯周病やインプラント治療を得意としていますので、その分野に関してはしっかり教育できます。
しかし、その他の分野に関してはもっと詳しく教えるのが上手い先生もいます。
規模が小さいと、教育のリソースが少ないわけです。
そこで、ある程度方向性を共にする他のクリニックとパートナー提携を結び、教育をシェアするというプロジェクトを立ち上げました。
教育をシェアするという考え方は、スモールビジネスの弱点を補う素晴らしい考えだと我ながら思っています。
教育方針やクリニックの運営スタイルが違うので、調整に莫大な時間を要しますが、かける価値がある考えだと自認しています。
渋谷区初台のミライト歯科クリニックさんと合同で毎週火曜日研修会を開催しています。
ミライト歯科の新開先生は、審美治療、顕微鏡治療、接着治療を得意としていて、人格的にも素晴らしい先生です。
この日は勤務医2名、衛生士1名をつれてきてくれました。
この日の実習のテーマは「歯科治療でいかに不快を減らして気持ちいいを増やすか」
よく考えてみると歯科治療は不快体験の宝庫です。
だから歯科クリニックは行きたくない場所の上位に選ばれます。
なぜ歯科治療が不快かをChatGPTに聞いてみました。
痛み:歯科治療中に痛みを感じることがあるため、多くの人が不快に感じます。麻酔を使用することで痛みを和らげることはできますが、麻酔注射自体が痛みを引き起こすこともあり得ます。
不快な匂いや味:歯科治療中、トリートメント中の材料や、歯の内部に残っている物質などが匂いを放つことがあります。歯科治療中には、手術時に使用される消毒液や歯の削りかすなどのニオイがするため、多くの人が不快を感じます。また、金属や薬剤などの味が口の中に残ることもあります。
不安:歯科治療に対する不安や恐怖心があるため、多くの人が不快に感じます。特に、過去に悪い経験をした人や、治療に伴って痛みが強い場合など、不安を感じやすくなります。
治療時間:一度に治療が長時間かかったり、何度も通う必要がある場合、不快感を感じることがあります。
費用:歯科治療の費用が高いため、不快に感じる場合があります。治療を行わない場合にも、将来的により高い治療費がかかる可能性があるため、早めの治療が必要となります。
不快な音:歯科治療中には、ドリルやウルトラソニックスケーラーなどの機器の音がうるさいため、多くの人が不快を感じます。
不快な感触:歯科治療中には、歯茎に麻酔注射をすることがあるため、注射器の針が刺さる感覚や、口の中に嫌な感触を感じることがあります。
不快な姿勢:歯科治療中には、椅子に座って口を開けた状態を長時間維持しなければならないため、多くの人が不快を感じます。
歯科治療の不快はこれだけあります。
これらの要素をできるだけ小さくして、快適さをどれだけ増やすか。
昨日の実習のテーマはこれでした。
不快を減らすには、まず自分が不快を体験しないといけないということで、
不快な項目を6つ、体験してみる実習を行いました。
・ミラーで口唇や頬粘膜を強く引っ張る
・デンタルチェアを最大に倒して、お口に水をためる
・耳元でバキュームの音を聴かせる
・苦い歯科材料を舐めてみる
・麻酔を急にうつ
などなど。
まるで苦行のような実習ですが、いつもこちらが患者さんに行っていることなので、我々が体験してみることは非常に価値がありました。
参加者からもたくさんの気づきがあったみたいで、今日からの臨床に活かしていただければと思います。
実習形式での研修会は月1で今後も継続していきたいと思います。
ちなみにDOUという名前ですが、柔道、弓道、茶道といった「道」からとっています。
すべての道には型があります。
型にはめこんだ動きや考えの先に哲学や自由があるという考え方です。
歯科治療においても「道」の要素は強いと思います。
歯道といっていいのかどうかはわかりませんが。
基本的な所作や動き、不快を取り除く工夫、そういった基礎的な「型」に自分をはめこむことによって、いい診療ができるようになると思っています。
しかしなかなかその普遍的な「型」について教えてくれる場所がない。
卒後3年以内に必ず知っておいた方がいいことが山ほどあります。
話し方から触り方、身だしなみにいたるまで。
ということでDOUセミナー、実習、盛り上げていきます。
LOTUS 矢野