歯ぐきの下まで割れた歯でも残せる?エクストルージョンという選択肢と適応条件
- 2026年7月12日
- 根管治療コラム
歯ぐきの下まで割れた歯に直面したときの不安と現実

「もう抜歯しかないのでは?」と感じる瞬間
歯が大きく欠けたり、歯ぐきの奥までヒビが入っていると指摘されたとき、多くの方が「この歯はもう残せないのではないか」と強い不安を抱きます。特に「歯ぐきの下まで割れている」と説明されると、見えない部分のトラブルであるがゆえに、状況が深刻に感じられるものです。実際、従来の治療では抜歯が選択されるケースも少なくありません。ただし近年では、エクストルージョン(歯根挺出術)といった方法により、破折の種類や位置によっては保存が難しい場合もありますが、条件が合えば歯を残せる可能性が検討されることもあります。大切なのは、早い段階で適切な診断を受け、複数の選択肢を理解したうえで判断することです。不安を感じた時点で、専門的な知見を持つ歯科医師に相談することが重要な一歩となります。
見た目では分からない“歯ぐきの下のトラブル”とは
歯のトラブルは、必ずしも目に見える部分だけで起きているわけではありません。特に歯ぐきの下、いわゆる歯根部分に生じた破折やヒビは、外から確認することが難しく、症状も分かりにくいことが特徴です。このようなケースでは、レントゲンや歯科用CTなどの画像診断によって初めて状態が把握されることが多くあります。歯ぐきの下まで及ぶ破折は、細菌感染のリスクや歯周組織への影響が大きく、治療の難易度が高くなる要因となります。しかし、破折の位置や範囲によっては、歯根挺出術(エクストルージョン)によって歯を引き上げ、健全な部分を利用して修復するという選択肢が検討されることもあります。見えないからこそ、正確な診断が重要になります。
痛みが少なくても進行しているケースへの注意
歯のトラブルというと「痛み」が代表的な症状として知られていますが、実際には痛みがほとんどないまま進行するケースも存在します。特に歯根のヒビや破折は、初期段階では違和感程度にとどまり、日常生活に大きな支障を感じないこともあります。そのため受診が遅れ、気づいたときには歯ぐきの下深くまで問題が進行していることも少なくありません。さらに、噛んだときのわずかな違和感や、一時的な痛みを見過ごしてしまうことで、状態が悪化する可能性もあります。エクストルージョン(歯根挺出術)のような保存的治療の適応は、歯や周囲組織の状態に大きく左右されるため、早期発見が重要です。軽い症状であっても放置せず、違和感を覚えた段階での受診が、将来の選択肢を広げることにつながります。
歯が歯ぐきの下まで割れるとはどういう状態か

歯冠破折と歯根破折の違いを理解する
歯が割れる状態にはいくつかの種類があり、代表的なものとして「歯冠破折」と「歯根破折」があります。歯冠破折は、歯ぐきより上の見えている部分が欠けたり割れたりする状態で、比較的視認しやすく、修復治療で対応できる場合もあります。一方で歯根破折は、歯ぐきの中に埋まっている歯の根の部分に亀裂や割れが生じる状態で、外からは確認しづらく、診断が難しいことが特徴です。特に破折線が歯ぐきの下深くまで及ぶ場合、感染や炎症が広がりやすく、治療の選択肢が限られてきます。ただし、破折の位置や方向によっては、エクストルージョン(歯根挺出術)によって歯質を歯ぐきの上に引き出し、修復可能な状態に整える方法が検討されることもあります。
なぜ歯ぐきの下まで割れると治療が難しくなるのか
歯ぐきの下まで破折が及ぶと治療が難しくなる主な理由は、「見えない」「操作しにくい」「清潔を保ちにくい」という三つの要素にあります。歯ぐきの中は視野が制限されるため、破折の正確な範囲や状態を把握するにはレントゲンや歯科用CTなどの精密検査が不可欠です。また、歯ぐきの下にある破折部位は器具のアクセスが難しく、適切な処置が行いにくいという技術的な課題もあります。さらに、歯ぐきの中は細菌が繁殖しやすい環境であり、十分な封鎖や修復ができなければ再感染のリスクが高まります。このような背景から、従来は抜歯が選択されることも多くありましたが、歯根挺出術(エクストルージョン)によって破折部位を歯ぐきの上に移動させることで、治療の可能性が広がるケースもあります。
放置した場合に起こりうるリスクと影響
歯ぐきの下まで割れた歯をそのまま放置すると、さまざまなリスクが生じる可能性があります。まず、破折部分から細菌が侵入し、歯の内部や周囲の骨に感染が広がることで、痛みや腫れを引き起こすことがあります。また、慢性的な炎症が続くと歯を支える骨(歯槽骨)が吸収され、結果として歯の保存がさらに困難になる場合もあります。さらに、噛み合わせのバランスが崩れることで、周囲の歯や顎関節に負担がかかることも考えられます。初期には症状が軽微であっても、時間の経過とともに状態が悪化する可能性があるため注意が必要です。エクストルージョン(歯根挺出術)のような保存的治療の適応は、歯や骨の状態に大きく影響されるため、早期の診断と対応が重要になります。
抜歯と診断されやすい理由とその背景

従来の治療では対応が難しいケースとは
歯ぐきの下まで割れた歯が「抜歯」と診断されやすい背景には、従来の治療法では対応が難しい構造的な問題があります。一般的な被せ物や詰め物による修復は、歯ぐきより上に十分な健全歯質があることが前提となります。しかし破折が歯ぐきの下まで及ぶ場合、修復の土台となる歯質が不足し、安定した補綴治療が困難になります。また、歯ぐきの中にある破折部は視野や操作性が制限されるため、精密な処置が難しく、再発や脱離のリスクも高まります。こうした理由から、機能回復と長期安定性を考慮すると、抜歯が選択されるケースが多くなります。ただし、近年ではエクストルージョン(歯根挺出術)によって歯質を歯ぐきの上に引き出し、保存を検討できる場合もあり、診断にはより多角的な視点が求められています。
感染・破折ライン・歯周組織の関係性
歯の保存が可能かどうかは、単に「割れているかどうか」だけでなく、感染の有無や破折の位置、そして歯を支える歯周組織の状態が密接に関係しています。破折部分が歯ぐきの深い位置にある場合、そこから細菌が侵入しやすく、慢性的な炎症や膿の形成を引き起こすことがあります。また、破折ラインが歯根の縦方向に及ぶ場合は、歯の構造的な安定性が大きく損なわれるため、保存が難しいと判断されることが一般的です。さらに、歯周組織がすでに弱っている場合には、歯を支える力自体が低下しており、治療後の予後にも影響を及ぼします。一方で、破折の位置が比較的浅く、歯周組織の状態が良好であれば、歯根挺出術(エクストルージョン)によって保存の可能性を検討できるケースもあります。
「保存困難」と判断される基準の考え方
歯科医師が「保存困難」と判断する際には、複数の要素を総合的に評価しています。代表的な基準としては、破折の位置や方向、残存している歯質の量、感染の広がり、歯周組織や骨の状態などが挙げられます。例えば、破折が歯根の先端近くまで及んでいる場合や、縦に大きく割れている場合には、構造的な回復が難しいと判断されることが多くなります。また、歯を支える骨が大きく失われている場合も、長期的な安定性が見込めないため、抜歯が検討されます。ただし、これらの判断はあくまで現時点での医学的な見解に基づくものであり、エクストルージョン(歯根挺出術)などの選択肢を含めた精密な診断によって、保存の可能性が見出される場合もあります。重要なのは、一つの診断に限定せず、必要に応じて複数の意見を参考にすることです。
歯を残すための選択肢「エクストルージョン(歯根挺出術)」とは

エクストルージョンの基本的な仕組み
エクストルージョン(歯根挺出術)とは、歯ぐきの中に埋まっている歯を意図的にゆっくりと引き上げることで、健康な歯質を歯ぐきの上に露出させ、修復可能な状態に整える治療法です。歯ぐきの下まで及んだ破折やむし歯は、そのままでは被せ物などの補綴処置が成立しにくく、抜歯が検討されることも少なくありません。しかし、歯を引き上げることで破折部位を歯ぐきの上に移動させることができれば、修復処置を行うための条件を整えることが可能になります。この治療は、歯を骨に固定しているクッションのような組織(歯根膜)の働きを利用して、適切な力をコントロールしながら段階的に歯を移動させる点が特徴です。また、単に歯を動かすだけでなく、歯周組織との関係性を考慮しながら進める必要があり、精密な診断と計画が求められます。歯を残したいと考える患者様にとって、条件が合えば重要な選択肢となる治療法です。
矯正的挺出と外科的挺出の違い
歯根挺出術(エクストルージョン)には主に「矯正的挺出」と「外科的挺出」の2つの方法があり、それぞれ適応や特徴が異なります。矯正的挺出は、ワイヤーやゴムなどの矯正装置を用いて、歯に持続的で緩やかな力を加え、数週間から数か月かけてゆっくりと歯を引き上げる方法です。この方法は歯周組織が自然に適応しやすく、組織へのダメージが比較的少ないとされていますが、治療期間が長くなる点が考慮されます。一方、外科的挺出は外科処置によって歯を一時的に動かし、目的の位置に移動させる方法で、短期間で結果が得られることが特徴です。ただし、外科的侵襲を伴うため、適応症の選択や術後管理が重要となります。どちらの方法が適しているかは、破折の状態や歯周組織の健康状態、患者様の全身状態などを総合的に判断して決定されます。
なぜ歯を引き上げることで保存が可能になるのか
歯を引き上げることで保存が可能になる理由は、修復に必要な「健全な歯質」を歯ぐきの上に確保できる点にあります。歯科治療において、被せ物や土台を安定させるためには、歯ぐきより上に一定量の健全な歯質が存在していることが重要です。しかし、破折やむし歯が歯ぐきの下にまで及んでいる場合、その条件を満たすことができず、補綴物の脱離や再感染のリスクが高まります。エクストルージョン(歯根挺出術)によって歯を上方に移動させることで、これまで歯ぐきの中に隠れていた健全な歯質を露出させ、適切な修復環境を整えることが可能になります。また、歯と歯ぐきの境界に十分な歯質が確保されることで、長期的な安定性や清掃性の向上も期待されます。このように、治療の前提条件を整えるという点において、歯根挺出術は歯の保存に寄与する重要な手段の一つといえます。
エクストルージョンが適応となるケース・ならないケース

適応となる主な条件(歯根の長さ・破折位置など)
エクストルージョン(歯根挺出術)が検討されるかどうかは、歯の状態や周囲組織の条件によって大きく左右されます。代表的な適応条件の一つが「十分な歯根の長さが残っていること」です。歯を引き上げた後も、歯を支える骨の中に一定の歯根が保持されていなければ、安定した機能を維持することが難しくなります。また、破折やむし歯の位置も重要で、歯ぐきの下ではあるものの、比較的浅い位置に限局している場合には、歯を引き上げることで健全歯質を露出させることが可能になります。さらに、歯周組織の状態が良好であることも大切な条件です。歯ぐきや骨に炎症が少なく、歯の支持が保たれている場合には、歯根挺出術の成功可能性が高まると考えられます。このように複数の条件が揃うことで、歯を保存する選択肢として現実的に検討されます。
適応外となるケース(重度歯周病・歯根破折の方向など)
一方で、エクストルージョン(歯根挺出術)が適応とならないケースも存在します。代表的なのが、重度の歯周病によって歯を支える骨が大きく失われている場合です。このような状態では、たとえ歯を引き上げたとしても十分な支持が得られず、長期的な安定が期待しにくくなります。また、歯根破折の方向も重要な判断材料となります。特に歯根が縦方向に大きく割れている「垂直性歯根破折」の場合、構造的な回復が難しく、保存が困難と判断されることが一般的です。さらに、破折が歯根の深部まで及び、感染が広範囲に広がっている場合も適応外となる可能性があります。このようなケースでは、無理に保存を試みるよりも、他の治療法を検討する方が結果的に良好な予後につながる場合もあります。
精密検査(CTなど)の重要性
エクストルージョン(歯根挺出術)の適応を正確に判断するためには、精密な検査が欠かせません。特に歯科用CTは、歯根の長さや形態、破折の位置や方向、周囲の骨の状態を立体的に把握できるため、診断精度の向上に大きく寄与します。通常のレントゲンでは確認しづらい微細な破折や、歯ぐきの下に広がる病変も、CCTによってより詳細な評価が可能になりますが、破折の状態によっては診断が難しい場合もあります。また、歯周ポケットの深さや歯の動揺度、噛み合わせの状態なども総合的に確認し、治療計画が立てられます。これらの情報をもとに、歯を保存できる可能性があるのか、それとも他の治療法が適しているのかを慎重に判断していきます。適切な検査を受けることは、将来的な後悔を避けるためにも重要なプロセスといえます。
治療の流れと期間・身体への負担

初診から診断、治療計画までの流れ
エクストルージョン(歯根挺出術)を検討する場合、まずは初診での詳細な診査・診断が重要になります。問診では、現在の症状や違和感の経過、過去の治療歴などを確認し、そのうえで口腔内の視診や触診が行われます。続いてレントゲンや歯科用CTなどの画像検査により、歯根の長さや破折の位置、周囲の骨や歯周組織の状態を立体的に把握します。これらの情報を総合的に評価し、歯根挺出術(エクストルージョン)が適応となるかどうかを慎重に判断します。その後、適応と判断された場合には、治療方法(矯正的挺出か外科的挺出か)、予想される期間、リスクなどについて丁寧な説明が行われ、患者様の理解と同意を得たうえで治療計画が立案されます。この段階で疑問や不安を解消しておくことが、納得のいく治療につながります。
実際の治療ステップと期間の目安
エクストルージョン(歯根挺出術)の治療は、選択される方法によって具体的な流れが異なりますが、一般的には段階的に進められます。矯正的挺出の場合、まず歯に装置を装着し、弱い力を持続的にかけながら数週間から数か月かけて徐々に歯を引き上げていきます。その後、歯が安定するまで一定期間固定し、歯ぐきや骨の適応を待ちます。最終的には土台(コア)や被せ物による補綴処置が行われます。一方、外科的挺出では比較的短期間で歯の位置を調整できるものの、その後の固定期間や治癒の経過観察が必要です。全体の治療期間は症例によって差がありますが、数か月から半年程度を見込むことが多く、計画的な通院が求められます。
痛みや日常生活への影響について
治療に伴う痛みや日常生活への影響について不安を感じる方も少なくありません。エクストルージョン(歯根挺出術)においては、矯正的挺出の場合、歯に持続的な力が加わるため、処置後に軽い違和感や圧迫感を覚えることがありますが、多くは数日以内に落ち着く傾向があります。外科的挺出では、処置後に腫れや軽度の痛みが生じることがありますが、適切な処置と術後管理によってコントロール可能な範囲とされています。日常生活においては、硬いものを避ける、患部を清潔に保つといった注意が必要になる場合がありますが、通常の生活が大きく制限されることは多くありません。個人差はあるものの、事前に具体的な影響を理解しておくことで、安心して治療に臨むことができます。
エクストルージョンのメリットと考慮すべき点

歯を残せる可能性があることの意義
エクストルージョン(歯根挺出術)の大きな意義は、従来であれば抜歯と判断される可能性があった歯に対して、「残せる可能性」を検討できる点にあります。天然歯は、噛む感覚や力の伝わり方、周囲組織との調和といった点で、人工物では完全に代替することが難しい側面を持っています。そのため、条件が整うのであれば、自身の歯を保存することには一定の価値があります。また、歯を残すことで周囲の歯への負担を軽減できる場合もあり、口腔全体のバランス維持にもつながります。ただし、すべての症例で適応となるわけではなく、歯の状態や歯周組織の健康状態によっては、他の治療法が適している場合もあります。歯根挺出術はあくまで選択肢の一つであり、客観的な診断に基づいて慎重に検討することが重要です。
審美性や機能回復への影響
エクストルージョン(歯根挺出術)は、歯の保存だけでなく、その後の審美性や機能回復にも影響を与える治療です。歯ぐきの下にあった破折部位を上方に移動させることで、健全な歯質を確保しやすくなり、適合性の高い被せ物を装着できる可能性が高まります。これにより、見た目の自然さや噛み合わせの安定性の向上が期待されます。また、歯と歯ぐきの境界が整うことで、清掃性が改善し、長期的な口腔内環境の維持にも寄与します。一方で、歯を引き上げる過程で歯ぐきや骨の位置関係が変化することもあるため、最終的な見た目については個々の症例に応じた配慮が必要です。審美性を重視する部位では、事前に十分な説明を受けたうえで治療を進めることが大切です。
治療期間・再発リスクなど事前に知っておきたい点
エクストルージョン(歯根挺出術)を検討する際には、メリットだけでなく、治療に伴う負担やリスクについても理解しておく必要があります。まず、矯正的挺出を行う場合は歯を徐々に移動させるため、数か月単位の治療期間が必要となり、通院や装置の管理が求められます。また、治療後には歯の位置を安定させるための固定期間が必要となることもあります。さらに、破折の状態や口腔内環境によっては、再び問題が生じる可能性が完全に否定できるわけではありません。特に清掃不良や過度な咬合力が続く場合には、再発リスクが高まることがあります。そのため、治療後のメンテナンスや生活習慣の見直しも重要な要素となります。これらを踏まえたうえで、納得して治療を選択することが大切です。
他の治療法との比較と選択の考え方

抜歯後のインプラント・ブリッジ・入れ歯との違い
歯ぐきの下まで割れた歯に対しては、エクストルージョン(歯根挺出術)による保存だけでなく、抜歯後の治療としてインプラント、ブリッジ、入れ歯といった選択肢も検討されます。インプラントは人工の歯根を骨に埋め込み、その上に被せ物を装着する方法で、周囲の歯に負担をかけにくい点が特徴です。ブリッジは両隣の歯を支えとして人工歯を固定する方法で、比較的短期間で機能回復が期待されますが、健康な歯を削る必要がある場合があります。入れ歯は取り外し式で広範囲に対応できる一方、装着感や咀嚼力に個人差があります。これに対し、歯根挺出術は自身の歯を活かすことを前提とした治療であり、適応があれば他の歯への影響を抑えながら機能回復を目指せる点が特徴です。
それぞれの治療法の特徴と適応
各治療法にはそれぞれ適した症例があり、一概に優劣を決めることはできません。インプラントは顎の骨量が十分にあり、全身状態に問題がない場合に適応となることが多く、長期的な安定性が期待される一方で外科処置を伴います。ブリッジは支台となる歯が健康であることが前提となり、比較的短期間で治療が完了する利点があります。入れ歯は多くの症例に対応可能であり、外科処置が難しい場合にも選択されますが、使用感に慣れが必要です。一方、エクストルージョン(歯根挺出術)は、歯根の長さや歯周組織の状態など一定の条件を満たす場合に限られますが、自身の歯を残すという観点で検討されます。重要なのは、それぞれの特徴を理解したうえで、個々の状態に適した方法を選ぶことです。
自分に合った選択をするための判断軸
治療法を選択する際には、「歯を残すか、補うか」という視点に加え、いくつかの判断軸を持つことが重要です。例えば、長期的な安定性や再治療の可能性、周囲の歯への影響、治療期間や通院回数、費用面などが挙げられます。また、見た目の自然さや日常生活での使い心地といった要素も、患者様にとっては大切なポイントとなります。エクストルージョン(歯根挺出術)は歯の保存を目指す治療ですが、すべてのケースで最適とは限りません。逆に、抜歯後の治療が適している場合もあります。こうした複数の視点を踏まえ、歯科医師から十分な説明を受けたうえで、ご自身の希望や生活背景に合った選択を行うことが、納得のいく結果につながります。
治療を検討する際に知っておきたい準備と医院選び

エクストルージョンに対応している医院の見つけ方
エクストルージョン(歯根挺出術)は、すべての歯科医院で一般的に行われている治療ではないため、対応可能な医院を見つけることが重要なポイントとなります。医院のホームページで治療内容を確認し、「歯根挺出術」「矯正的挺出」「保存的治療」などの記載があるかを一つの目安にするとよいでしょう。また、歯科用CTなどの精密検査設備が整っているかどうかも、適切な診断を受けるうえで重要な要素です。さらに、補綴・歯周・矯正など複数の分野を総合的に考慮できる体制があるかも確認したい点です。症例によっては高度な判断が求められるため、経験や知識の蓄積がある医院で相談することが、納得のいく治療選択につながります。
カウンセリングで確認すべきポイント
カウンセリングでは、単に「歯を残せるかどうか」だけでなく、治療の全体像を理解することが大切です。具体的には、エクストルージョン(歯根挺出術)が適応となる理由や、他の治療法との比較、予想される治療期間、費用、通院回数などを確認しておきましょう。また、治療に伴うリスクや、期待される結果の範囲についても丁寧に説明を受けることが重要です。特に難症例では、状態によって治療計画が変更される可能性もあるため、その点についても事前に理解しておくと安心です。説明の内容が分かりやすいか、質問に対して誠実に答えてもらえるかといった点も、医院選びの判断材料となります。
セカンドオピニオンを活用する重要性
歯ぐきの下まで割れた歯に対する診断や治療方針は、歯科医師によって見解が分かれることがあります。そのため、一つの診断結果だけで判断するのではなく、必要に応じてセカンドオピニオンを活用することが重要です。例えば、ある医院では抜歯と診断されたケースでも、別の医院ではエクストルージョン(歯根挺出術)による保存の可能性が示されることもあります。複数の意見を比較することで、自身の状態をより客観的に理解しやすくなり、納得のいく選択につながります。また、異なる視点からの説明を受けることで、治療に対する不安が軽減される場合もあります。大切なのは、遠慮せずに情報を集め、自分にとって最も適した選択を見極める姿勢です。
よくある疑問とこれからの一歩

本当に歯は残せるのか?成功率の考え方
「歯ぐきの下まで割れた歯でも本当に残せるのか」という疑問は、多くの方が抱く不安の一つです。エクストルージョン(歯根挺出術)は、条件が整えば歯の保存を目指せる治療法ですが、すべての症例で適応となるわけではありません。成功率についても一律に示すことは難しく、歯根の長さ、破折の位置や方向、歯周組織の健康状態、口腔内の清掃状況など、複数の要因によって左右されます。そのため、「残せるかどうか」は個別の診断に基づいて判断されるべきものです。重要なのは、単に可能性の有無だけでなく、治療後の機能や長期的な安定性も含めて総合的に評価することです。歯根挺出術の選択を検討する際には、こうした視点を踏まえた説明を受け、納得したうえで判断することが大切です。
治療を受けるべきか迷ったときの判断基準
エクストルージョン(歯根挺出術)を含めた治療を受けるべきか迷ったときには、いくつかの視点から整理して考えることが役立ちます。まず、現在の歯の状態と将来的な見通しについて、どの程度理解できているかを確認することが重要です。そのうえで、歯を残すことによるメリットと、治療に伴う負担やリスクを比較検討します。また、治療期間や通院頻度、費用といった現実的な要素も判断材料となります。さらに、ご自身の生活スタイルや価値観に合っているかどうかも大切なポイントです。歯科医師の説明を受ける中で疑問点を整理し、必要に応じてセカンドオピニオンを活用することで、より客観的な判断がしやすくなります。焦って結論を出すのではなく、十分な情報をもとに検討することが重要です。
早期相談が将来の選択肢を広げる理由
歯ぐきの下まで及ぶ破折やトラブルは、時間の経過とともに状態が悪化する可能性があります。そのため、違和感や軽い症状の段階で相談することが、将来的な選択肢を広げるうえで重要になります。エクストルージョン(歯根挺出術)の適応は、歯や歯周組織の状態に大きく依存するため、進行してからでは適応外となるケースも少なくありません。早期に診断を受けることで、歯を保存できる可能性が残されているかどうかを見極めることができます。また、初期の段階で適切な対応を行うことで、より侵襲の少ない治療で済む場合もあります。症状が軽いからといって様子を見るのではなく、小さな変化の段階で専門家に相談することが、結果的にご自身の歯を守ることにつながります。
監修:LOTUS DENTAL CLINIC 不動前
所在地〒:東京都品川区西五反田3丁目13-11
電話番号☎:03-6420-3243
*監修者
LOTUS DENTAL CLINIC 不動前
院長 矢野 孝星
*出身大学
岡山大学歯学部
*経歴
・2012年 岡山大学歯学部 卒業
・2012年 東京医科歯科大学歯学部附属病院 研修医
・2013年 東京医科歯科大学大学院 博士課程(歯周病学分野)入学
・2018年 東京医科歯科大学大学院 博士課程修了、歯学博士
・2018年 東京女子医科大学 歯科口腔外科 見学生
・2018年 東京医科歯科大学 歯周病学分野 医員
・2018年 渋谷ハプラス歯科 院長
・2019年 東京医科歯科大学 非常勤講師
・2020年 清水歯科クリニック 勤務
・2022年 LOTUS DENTAL CLINIC 不動前 開設
*資格・所属学会
・日本歯周病学会 会員
・日本臨床歯周病学会 会員
・日本歯科保存学会 会員
・日本口腔インプラント学会 会員
・International Team for Implantology(ITI) 会員
・日本再生医療学会 会員
・日本骨代謝学会 会員
・OSSTEM JAPAN マスターコースディレクター