空間の力は侮れません。
空間が人を癒やしたり、不快感を感じさせたり、人間関係を改善させたりします。
「空間デザイン」「空間の心理学」という学問体系にもなっています。
一見無駄に見える空間にも意味があったりします。
空間を構成する要素はいくつかあります。
視覚では広さや開放感、フォルムと色彩を知覚し、
嗅覚で匂いを嗅ぎ、
聴覚では音を察知し、
触覚では素材の表面性状や柔らかさなどを認知します。
そのような五感で感じた情報が高度に処理され、統合されます。
そこにストーリーが付与され、総合的な感じ方をしているわけです。
人によって感度の差はあれど、何かしらの感じ方をしています。
誰しもが、それぞれ心地良いと感じるお気に入りの空間があるはずです。
私はクリニックの目的は二つあると考えています。
医療行為による体の癒しと
空間とサービスがもたらす心の癒やし です。
医療行為に関する膨大な知識は、大学で体系的に学びました。
その一方で、空間やサービスに関する知識を学ぶ機会は多くはありません。
学ぶ場所も無ければ、学会も存在しません。
個人が経験を元に学んでいくしかありません。
接遇に関しては、接遇セミナーやスタッフ教育のマニュアルで学べるかもしれません。
しかし、空間に関してはどうでしょうか?
目の前の空間に対してただ漠然と心地良い、心地悪いなどの印象を持っているだけで、その空間を決定づけている各々の要素を分解して分析することはあまりできません。
人がどのような空間でリラックスし、ストレスが緩和され、
どのような空間で前向きになったり、創造性が高まるのか。
そのようなことをしっかりと考えていくことが大切だと思います。
一つの答えなど存在しないと思いますが、
煮詰めて考える中でよりよい空間になると考えています。
内装デザインはそのような観点を大切にしながら行っていきたいと思っています。
院長 矢野