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カメラは人の目に近づけるか。|LOTUS DENTAL CLINIC 不動前|東急目黒線「不動前駅」の歯科

印象的な景色や対象物に出会うと、その光景を記録に残したいと思い写真を撮る。

一眼カメラでしっかり撮影したり、スマートフォンを使って気軽に撮影したりする。

最近のスマートフォンはカメラの性能が格段に上がってきていて、マクロ撮影だったりパノラマ撮影、広角撮影なんかもできるようになってきた。

しかしながら、一眼にしてもスマホにしても、仕上がったイメージを見ると落胆することが多い。

目で見たイメージの方が数段階美しいからだ。

目・脳でとらえるイメージは、

①光の温かみごとに色彩的な鮮やかさと印象的柔らかさを微調整し、

②明暗を自動調整し、明るいところは暗く、暗いところは明るく認知しているため、白トビも黒トビもすることなく全体的にほどよく認知させ、

③3次元的な空間の奥行きをそれぞれ認知し、脳内でまとまったイメージとして再構成することができる。

④さらには感情と五感の感度によっては情緒的な印象の上乗せをしている。

このような複雑な芸当はカメラにはできない。

プロの写真家は、限られたカメラの機能を無限に引き出す術を知っている。

無論、写真家としてのジャンルによって何を目指して撮影しているのかが異ってくるが。

ガーベラに水滴を載せてマクロ撮影したときは、純粋に高機能一眼レフでの接写撮影を楽しむのみ。

研究所(東京女子医科大学先端生命医科学研究所)の桜を撮影した際は、造形と構図の美しさを忠実に再現できるように努めた。

バンコクの仏閣を巡っていた際は、その空間の空気感と信仰心を表現できるようにチャレンジした。

写真を趣味として、風景写真から人物写真、マクロ写真にいたるまで多くの対象を記録してきたが、とても良い写真が撮れた時というのは、その空間を目と脳で認知した印象そのものに写真の質が近づいた時だ。

しかしながら、これが多くの場合うまくいかない。

結局、目で見た方が圧倒的に良いからだ。

そのギャップを埋めることはなかなか容易ではない。

カメラは人の目に近づけるか。

 

そのような悩みを抱えながら10年ほど写真を撮っているが、昨日は一ついい発見があった。

奥多摩の山奥の川がとても良く、スマホで撮影してみた。

スマホでは光量の調整が難しいため、光は白トビし、陰影は黒くつく。

みずみずしさもなくなり、味気ない。

これではない。という気持ちが浮かぶ。そもそも画角が違う。

せめて空間的な広がりだけでも、印象的に撮りたいと思い、縦長のパノラマで撮影してみた。

するとどうだろう。先ほどの写真とは全く印象がことなる。

同じスマホで撮った写真とは思えない。

頭上の木々まで空間に入る。川の流れまで空間に入っている。

人間の目と脳は、周辺の構成物まで周辺視野で認知している。

森の全体感までなにとなく察知しているため、制限された画角で切り取った瞬間に、変わったものになってしまう。

パノラマ撮影は、広角撮影とは異なる。

広角にすると、中心部が圧縮され周辺部位が引き伸ばされるため、画角の中心部に近づけば近づくほど印象が小さくなってしまう。広角であればあるほど人の目の印象とは離れていく。広角であっても遠方の山々を撮影する際は問題にならないこともあるが。

パノラマ撮影だと、中央部は圧縮されない。全エリアが等倍となるため、違和感が少ない。

なんとスマホの機能に教えられた。

ただスマホの画素には限界があるため、理想的には、一眼レフで数枚の写真をずらしながら撮り、フォトショップで合成するのが最も良いのではないかと感じる。

 

LOTUS  矢野