重度歯周病からインプラントまで|治療完了までの流れを段階別に解説
- 2026年8月31日
- 歯周病とインプラント
「歯周病がかなり進んでいると言われた。もう抜くしかないのだろうか」——そんな不安を抱えたまま、次の一歩を踏み出せずにいる方は少なくありません。さらに「抜いた後にインプラントにできるのか」「どれくらい時間がかかるのか」と、先が見えないことへの心配も重なります。
重度歯周病からインプラントに至る道のりは、一足飛びには進みません。ただ、逆に言えば、順序さえ理解できれば「今、自分がどの段階にいるのか」が見えてきます。ここでは治療完了までの流れを、段階ごとに整理してお伝えします。
なぜ「歯周病を治してから」でないとインプラントに進めないのか
インプラントは顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療です。土台となるのは、あくまで骨と歯ぐき。歯周病は、この骨と歯ぐきを少しずつ壊していく病気です。
つまり、歯周病菌が活動している状態のままインプラントを埋入すると、天然歯の歯周病と似たしくみで人工歯根の周囲にも炎症が起こる「インプラント周囲炎」のリスクが高まります。インプラントには歯根膜という緩衝組織がないため、炎症が進行すると骨の吸収が早く進みやすいことも知られています。
だからこそ、重度歯周病の方の場合は「歯周病治療」と「インプラント治療」を別々のものと考えず、ひと続きの計画として組み立てる必要があるのです。
治療完了までの流れ|段階別タイムライン
実際の期間は口腔内の状態や全身の健康状態によって大きく変わりますが、一般的な流れは次のように整理できます。
第1段階:精密検査・診断(おおよそ1〜3週間)
- 歯周ポケットの深さの測定、出血や動揺度のチェック
- レントゲン・歯科用CTによる骨の残存量、骨の形態の把握
- 噛み合わせ、残せる歯と難しい歯の見極め
- 全身疾患や服用薬の確認
ここが治療全体の設計図になります。特に重度の症例では、どの歯を残し、どこにインプラントを計画するかという判断が、その後の結果を大きく左右します。
第2段階:歯周基本治療(おおよそ2〜6ヶ月)
歯石やプラークの除去、ブラッシング指導、生活習慣の見直しを行い、炎症を落ち着かせていく段階です。地味に感じられるかもしれませんが、ここでの改善度合いが、後のインプラントの安定性に関わってきます。喫煙されている方は、この時期から禁煙に取り組んでいただくことをお願いすることがあります。
基本治療で改善が不十分な部位には、歯周外科処置や再生療法を検討する場合もあります。
第3段階:抜歯・治癒待ち(抜歯後おおよそ2〜3ヶ月)
保存が難しいと判断された歯を抜歯します。抜歯窩の状態によっては、骨の吸収を抑える目的で人工骨などを填入する処置(ソケットプリザベーション)を併用することがあります。抜歯後は骨と歯ぐきが治るのを待つ期間が必要です。
第4段階:骨造成(必要な場合、おおよそ4〜6ヶ月)
重度歯周病では骨が大きく失われていることが多く、そのままではインプラントを支えられないケースがあります。その場合、GBR(骨誘導再生法)や上顎洞底挙上術などで骨の量を確保します。骨造成とインプラント埋入を同時に行う場合と、段階的に分ける場合があり、骨の状態によって判断されます。
第5段階:インプラント埋入手術と結合期間(おおよそ3〜6ヶ月)
人工歯根を顎の骨に埋め込みます。手術自体は局所麻酔下で行われ、1本あたりの所要時間は限られています。その後、インプラントと骨が結合するのを待つ期間が必要です。上顎は下顎より骨が柔らかい傾向があるため、待機期間が長めに設定されることがあります。この間は仮歯で見た目と噛む機能を補うことが一般的です。
第6段階:上部構造の装着(おおよそ1〜2ヶ月)
型取りを行い、被せ物(上部構造)を製作して装着します。噛み合わせを細かく調整し、周囲の歯とのバランスを整えて治療は一区切りとなります。
第7段階:メインテナンス(継続)
ここからが本当のスタートです。歯周病の既往がある方は再発リスクを抱えているため、3〜4ヶ月ごとの定期的なチェックとクリーニングが推奨されます。インプラント周囲炎は自覚症状が出にくいため、専門的な管理が長期安定の鍵になります。
全体像を知ることが、不安を減らす第一歩
合計すると、重度歯周病からインプラント治療の完了までには、おおむね1年から2年程度を要することがあります。長く感じられるかもしれませんが、その大部分は「体が治るのを待つ時間」です。急いで進めることが、かえって長期的な結果を損なうこともあります。
また、すべての方がこの流れをたどるわけではありません。骨造成が不要なケース、抜歯本数が少ないケース、あるいは全身状態や骨の状況からインプラント以外の選択肢(ブリッジや入れ歯)が適していると判断されるケースもあります。治療方針は検査結果に基づいて個別に組み立てられるものです。
まとめ
重度歯周病からインプラントに至る道のりは、精密検査 → 歯周基本治療 → 抜歯・治癒 → 骨造成 → 埋入 → 上部構造 → メインテナンスという段階を踏んで進みます。それぞれの段階には意味があり、飛ばすことのできない理由があります。
「自分の場合はどの段階から始まるのか」「骨造成は必要なのか」といった疑問は、実際に検査をしてみないとお答えできません。逆に言えば、検査によって全体像は具体的に描けるようになります。
LOTUS DENTAL CLINIC不動前では、重度歯周病を伴う難しい症例についても、CT撮影を含む精密検査をもとに、治療期間や各段階の見通しを丁寧にご説明しています。「他院で難しいと言われた」「先が見えなくて不安」という方も、まずは現状を知るところから一緒に始めてみませんか。ご相談をお待ちしています。
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