歯ぐきが下がって歯が長く見えるのは戻る?自然に治るケースと治療が必要なケース
- 2026年6月15日
- 歯周病コラム

歯ぐきが下がって歯が長く見える…その違和感に気づいたとき

鏡で気づく「歯が長く見える」変化の正体
鏡を見たときに「以前より歯が長く見える」と感じた場合、その多くは歯そのものの長さが変化したのではなく、歯ぐきが下がる「歯茎下がり(歯肉退縮)」が起きている状態です。歯肉退縮とは、歯を支えている歯ぐきが何らかの原因で位置を下げ、歯の根元部分が露出してしまう現象を指します。本来、歯の根元は歯ぐきに守られて見えない構造ですが、この部分が露出することで、見た目として「歯が長くなった」と感じられるのです。特に前歯は視線が集まりやすく、わずかな歯肉の変化でも気づきやすいため、違和感として認識されやすい傾向があります。また、歯肉退縮は急激に進むというよりも、日常生活の中で少しずつ進行していくことが多いため、「気づいたら変わっていた」というケースも少なくありません。このような見た目の変化は単なる審美的な問題にとどまらず、歯の健康状態を示すサインである可能性もあるため、軽視せずに捉えることが大切です。
痛みがなくても不安になる理由とは
歯茎下がり(歯肉退縮)は、初期の段階では痛みや腫れといった分かりやすい症状が現れにくいことが特徴です。そのため、日常生活に支障がないまま進行することも多く、「見た目の変化だけ」が唯一のサインとなるケースも少なくありません。しかし、人は「原因がはっきりしない変化」に対して強い不安を感じやすく、「なぜ歯ぐきが下がったのか」「このまま進行するのではないか」といった疑問が次々に浮かびます。また、歯ぐきが下がることで歯の根元が露出すると、外部からの刺激を受けやすくなり、将来的に知覚過敏やむし歯のリスクが高まる可能性があります。このように、現時点で痛みがなくても、将来のトラブルにつながる可能性を感じ取ることが、不安を強める要因となります。さらに、歯周病が背景にある場合には、症状が乏しいまま進行することもあるため、「痛くない=問題ない」とは言い切れない点も、不安を抱きやすい理由の一つといえるでしょう。
歯茎下がり(歯肉退縮)に気づいた人が最初に抱く疑問
歯肉退縮に気づいたとき、多くの方がまず感じるのは「これは元に戻るのだろうか」という疑問です。加えて、「自然に治ることはあるのか」「放置しても問題ないのか」「歯科での治療が必要なのか」といった具体的な判断に関する悩みも生じます。特に、痛みがない状態で見た目だけが変化している場合、自分の状態が軽度なのか、それともすでに治療が必要な段階なのかを見極めることは難しく、不安が長引く原因となります。また、インターネットやSNSにはさまざまな情報が存在し、「セルフケアで改善する」という内容と「専門的な治療が必要」という内容が混在しているため、どの情報を信じるべきか迷う方も少なくありません。歯茎下がり(歯肉退縮)は、原因や進行度によって適切な対応が異なるため、一律の判断が難しい状態です。そのため、まずは正しい知識を整理し、自身の状態を客観的に理解することが、今後の対応を考えるうえで重要な第一歩となります。
歯茎下がり(歯肉退縮)とは何かを正しく理解する

歯肉退縮とはどのような状態を指すのか
歯肉退縮とは、歯を支えている歯ぐき(歯肉)が何らかの要因によって本来の位置よりも下がり、歯の根元部分が露出してしまう状態を指します。一般的に「歯茎下がり」とも呼ばれ、加齢による変化と考えられることもありますが、実際には歯周病やブラッシング習慣、噛み合わせなど複数の要因が関係しているケースが多く見られます。歯の表面(エナメル質)とは異なり、歯の根の部分は刺激に弱いため、歯肉退縮が進むことで知覚過敏やむし歯のリスクが高まる可能性があります。また、歯ぐきが下がるという現象は単なる見た目の問題にとどまらず、歯を支える骨や組織の状態とも関係していることがあるため、背景にある原因を適切に把握することが重要です。
見た目の変化と実際に起きている口腔内の変化
歯茎下がり(歯肉退縮)では、見た目として「歯が長くなった」「歯と歯の間にすき間ができた」といった変化が現れます。しかし、実際に口腔内で起きている変化はそれだけではありません。歯ぐきが下がることで、歯の根元が露出し、外部からの刺激を受けやすくなります。その結果、冷たいものや甘いものがしみる知覚過敏の症状が出ることがあります。また、歯と歯の間の歯ぐき(歯間乳頭)が痩せることで、食べ物が詰まりやすくなり、むし歯や歯周病のリスクが高まる可能性もあります。さらに、歯肉退縮が進行している場合には、歯を支える骨(歯槽骨)の吸収が関与していることもあり、単なる表面的な変化ではなく、歯の土台そのものに影響が及んでいるケースも考えられます。
放置されやすい理由と気づきにくさの背景
歯肉退縮が放置されやすい理由のひとつは、初期段階では痛みや腫れといった自覚症状がほとんどないことにあります。歯ぐきが少しずつ下がっていく過程はゆっくりと進行するため、日常生活の中では変化に気づきにくく、「気づいたときには進んでいた」というケースも少なくありません。また、「年齢による自然な変化」と捉えてしまい、特別な対応が必要ないと考えてしまうことも、受診の遅れにつながります。さらに、歯茎下がり(歯肉退縮)は見た目の問題として軽く受け止められがちですが、実際には歯周病などの疾患が背景にある可能性もあります。このように、自覚症状の少なさと誤った認識が重なることで、必要なタイミングでの対処が遅れてしまう傾向があるため、早期に状態を把握することが重要です。
なぜ歯ぐきは下がるのか?原因を整理する

歯周病によって歯ぐきが下がる仕組み
歯茎下がり(歯肉退縮)の代表的な原因のひとつが歯周病です。歯周病は、歯と歯ぐきの境目にたまったプラーク(歯垢)に含まれる細菌によって炎症が引き起こされ、歯ぐきや歯を支える骨(歯槽骨)が徐々に破壊されていく病気です。初期の段階では歯ぐきの腫れや出血など軽度の症状にとどまることが多いですが、進行すると歯ぐきが下がり、歯の根元が露出する歯肉退縮の状態へと移行していきます。さらに進行すると歯を支える骨も吸収され、歯のぐらつきや最終的には歯の喪失につながる可能性もあります。歯周病は自覚症状が少ないまま進行することが多いため、気づかないうちに歯茎下がりが進んでいるケースも少なくありません。このように、歯肉退縮は歯周病の進行過程の一部として現れる重要なサインであると考えられます。
ブラッシングや生活習慣が与える影響
歯茎下がり(歯肉退縮)は歯周病だけでなく、日常的なブラッシング方法や生活習慣の影響によっても引き起こされることがあります。特に、力を入れすぎた歯磨きや硬い歯ブラシの使用は、歯ぐきに過度な刺激を与え、歯肉を徐々に傷つけてしまう原因となります。このような状態が続くと、歯ぐきが摩耗するように下がっていき、歯肉退縮を引き起こすことがあります。また、喫煙習慣は歯ぐきの血流を低下させ、組織の回復力を弱めるため、歯肉退縮の進行を助長する要因のひとつとされています。さらに、食生活の偏りや口腔ケアの不足も歯周環境の悪化につながり、結果として歯茎下がりのリスクを高める可能性があります。日常の何気ない習慣が、歯ぐきの健康に影響を与えている点は見過ごせません。
噛み合わせや歯ぎしりとの関係
歯茎下がり(歯肉退縮)は、噛み合わせのバランスや歯ぎしり、食いしばりといった力の問題とも深く関係しています。歯に過剰な力が繰り返し加わると、歯を支えている歯ぐきや骨に負担がかかり、その影響で歯肉が徐々に下がっていくことがあります。特に就寝中の歯ぎしりは無意識のうちに強い力がかかるため、自覚がないまま歯や歯周組織にダメージが蓄積されることがあります。また、噛み合わせにズレがある場合、特定の歯に負担が集中し、その周囲の歯ぐきだけが局所的に下がるといったケースも見られます。このような力による影響は、見た目だけでは判断が難しいことが多く、歯科医院での専門的な評価が必要になる場合があります。歯肉退縮の背景には、細菌だけでなく力のコントロールも重要な要素として関わっています。
「自然に戻るのか?」という疑問への正しい答え

歯茎下がりは自然に回復するのかという考え方
歯茎下がり(歯肉退縮)に気づいたとき、多くの方が「自然に元に戻ることはあるのか」と疑問に感じます。結論から言えば、歯肉退縮そのものが自然に元の位置まで回復するケースは一般的には多くありません。歯ぐきは一度下がると、その状態のまま安定してしまうことが多く、皮膚のように自然に再生して元に戻るという性質は限定的です。ただし、原因によっては進行を抑えたり、炎症を改善することで見た目や症状が軽減することはあります。たとえば、歯周病による炎症が関与している場合、適切な歯周治療によって歯ぐきの腫れが改善し、結果として歯ぐきのラインが整って見えることがあります。このように、「完全に元に戻る」というよりも、「状態を安定させる・改善する」という視点で捉えることが現実的です。
回復が難しいとされる理由
歯茎下がり(歯肉退縮)が自然に回復しにくい理由は、歯ぐきの構造と再生能力にあります。歯ぐきは歯や骨と密接に関係しており、一度退縮が起こると、その部分の歯肉や歯を支える骨(歯槽骨)も同時に変化していることが少なくありません。特に歯周病が原因の場合、骨の吸収が進行しているケースもあり、単純に歯ぐきだけを元の位置に戻すことは難しくなります。また、歯の根元部分はエナメル質に比べて外部刺激に弱く、露出した状態が続くと知覚過敏などの症状が現れやすくなりますが、これも自然に覆われることは多くありません。さらに、日常的なブラッシングの癖や噛み合わせの問題など、原因が継続している場合には、歯肉退縮が進行しやすくなります。このように、歯肉退縮は単一の要因ではなく、複数の構造的・機能的な要素が関係しているため、自然回復が難しいとされています。
進行を止めることと元に戻すことの違い
歯茎下がり(歯肉退縮)において重要なのは、「元に戻すこと」と「これ以上進行させないこと」は別の考え方であるという点です。歯肉退縮がすでに起きている場合、その状態を完全に元通りにするには、場合によっては外科的な治療が検討されることもあります。一方で、すべてのケースにおいて見た目の回復を目指す必要があるわけではなく、まずは原因を特定し、進行を抑えることが優先されることが一般的です。たとえば、歯周病のコントロールや適切なブラッシング方法の習得、噛み合わせの調整などにより、これ以上の歯肉退縮を防ぐことが可能となります。このように、現状を正しく把握したうえで、「どこまでを目標とするのか」を段階的に考えることが大切です。歯肉退縮に対する対応は一律ではなく、個々の状態に応じた判断が求められます。
放置するとどうなる?歯肉退縮のリスク

知覚過敏やしみる症状との関連
歯茎下がり(歯肉退縮)が進行すると、歯の根元部分が露出しやすくなります。この部分はエナメル質ではなく象牙質で覆われており、外部からの刺激を受けやすい構造です。そのため、冷たい飲み物や甘い食べ物、歯ブラシの接触などによって「しみる」と感じる知覚過敏の症状が現れることがあります。初期は一時的な違和感にとどまることもありますが、歯肉退縮が進むにつれて症状が強くなり、日常生活に影響を及ぼすこともあります。また、知覚過敏があることでブラッシングを避けるようになり、結果として口腔内の清掃状態が悪化するという悪循環に陥る可能性もあります。こうした変化は徐々に進行するため気づきにくいものの、歯茎下がりは単なる見た目の問題ではなく、機能面にも影響を及ぼす状態であることを理解しておく必要があります。
むし歯や歯の寿命への影響
歯肉退縮によって露出した歯の根元は、むし歯のリスクが高い部位でもあります。歯の表面を覆うエナメル質に比べ、根元の象牙質やセメント質は酸に弱く、むし歯が進行しやすい特徴があります。そのため、歯茎下がり(歯肉退縮)を放置すると、通常とは異なる場所にむし歯ができる「根面う蝕」が発生する可能性があります。また、歯周病が原因で歯肉退縮が進行している場合には、歯を支える骨の吸収も同時に進んでいることがあり、歯の安定性が低下することもあります。これにより、歯のぐらつきや咀嚼機能の低下につながり、長期的には歯の寿命に影響を及ぼすことも考えられます。このように、歯肉退縮は見た目だけでなく、歯の機能や保存の観点からも無視できない状態といえます。
見た目の変化が与える心理的負担
歯茎下がり(歯肉退縮)は、見た目の変化として現れることが多く、心理的な負担につながることも少なくありません。特に前歯の歯ぐきが下がると、歯が長く見えたり、歯と歯の間にすき間ができたりすることで、笑顔に自信が持てなくなると感じる方もいます。また、「人からどう見られているのか」という意識が強くなり、会話や写真撮影の際に口元を気にするようになるケースもあります。このような心理的な影響は日常生活の質にも関わる重要な要素です。しかし、歯肉退縮は適切な対応によって進行を抑えたり、状態に応じて見た目の改善を目指すことも可能な場合があります。不安を抱えたまま過ごすのではなく、現状を正しく把握することが、安心につながる第一歩となります。
歯ぐきが戻る可能性があるケース・難しいケース

軽度で改善が見込めるケースの特徴
歯茎下がり(歯肉退縮)の中でも、比較的軽度なケースでは、適切な対応によって状態の改善や見た目の回復が期待できる場合があります。たとえば、歯周病による炎症が主な原因で歯ぐきが腫れていたケースでは、歯周治療によって炎症が落ち着くことで歯ぐきの形が整い、結果として歯が長く見える印象が軽減することがあります。また、過度なブラッシングが原因で歯肉にダメージが加わっていた場合には、歯磨きの方法や力加減を見直すことで、それ以上の歯肉退縮を防ぎ、状態の安定につながることもあります。ただし、「元の位置まで完全に戻る」というよりは、「これ以上進行しないようにしつつ見た目が改善される」といったケースが多く、期待できる変化の程度には個人差があります。いずれにしても、原因に応じた対応が早期に行われることが重要です。
治療が必要と判断される状態とは
歯茎下がり(歯肉退縮)が進行している場合や、歯を支える骨の減少が伴っている場合には、歯科での専門的な治療が必要と判断されることがあります。具体的には、歯の根元が大きく露出している、知覚過敏の症状が強い、歯のぐらつきが見られるといった状態は、単なる経過観察ではなく、原因に対する治療が求められる可能性があります。また、歯周病が進行しているケースでは、歯ぐきの退縮だけでなく、歯を支える骨の吸収も同時に進んでいることがあり、放置すると歯の保存が難しくなることも考えられます。さらに、見た目の問題が大きく、日常生活に支障を感じている場合には、機能面だけでなく審美的な改善を目的とした治療が検討されることもあります。このように、歯肉退縮の程度や背景によって、必要な対応は大きく異なります。
見た目だけでは判断できない理由
歯茎下がり(歯肉退縮)は見た目の変化として現れることが多い一方で、その進行度や原因は外見だけでは正確に判断できない場合が少なくありません。たとえば、同じように歯が長く見える状態であっても、軽度の歯肉退縮にとどまっているケースもあれば、歯周病によって歯を支える骨が大きく失われているケースもあります。また、噛み合わせや歯ぎしりによる力の影響が関与している場合には、見た目以上に歯や歯周組織に負担がかかっていることも考えられます。このような背景は、レントゲン検査や歯周ポケットの測定など、専門的な検査を通じて初めて把握できることが多いものです。そのため、自己判断で「軽そうだから大丈夫」と考えるのではなく、歯科医院で客観的に状態を評価してもらうことが、適切な対応につながります。
歯茎下がり(歯肉退縮)に対する主な治療選択肢

原因に対する基本的な歯周治療
歯茎下がり(歯肉退縮)への対応において、まず重要となるのが原因へのアプローチです。特に歯周病が関与している場合には、歯周治療が基本となります。歯周治療では、歯と歯ぐきの境目に付着したプラークや歯石を除去し、炎症を抑えることを目的とします。これにより、歯ぐきの状態が改善し、歯肉退縮の進行を抑えることが期待されます。また、日常のセルフケアの見直しも重要な要素であり、正しいブラッシング方法の指導や生活習慣の改善が併せて行われることが一般的です。歯肉退縮そのものを元に戻すというよりも、まずは原因を取り除き、これ以上の悪化を防ぐことが治療の第一段階となります。この段階を適切に行うことで、将来的なリスクの軽減につながります。
見た目と機能の改善を目的とした治療
歯茎下がり(歯肉退縮)が進行し、見た目や機能に影響が出ている場合には、症状に応じて改善を目的とした治療が検討されることがあります。たとえば、歯の根元が大きく露出している場合には、歯ぐきの移植などを行い、露出部分を覆う治療が選択肢となることがあります。また、知覚過敏の症状がある場合には、薬剤の塗布やコーティングによって刺激を軽減する処置が行われることもあります。さらに、見た目の改善を目的として、歯と歯の間のすき間を補う治療が検討されることもあります。ただし、これらの治療はすべての症例に適応されるわけではなく、歯ぐきや骨の状態、原因などを総合的に判断したうえで選択されます。目的は単なる見た目の回復ではなく、機能の維持と長期的な安定です。
症状に応じた治療選択の考え方
歯茎下がり(歯肉退縮)の治療は、一律に同じ方法が適用されるものではなく、症状の程度や原因、患者ごとの口腔環境に応じて個別に検討されます。軽度で進行が止まっている場合には、定期的なメンテナンスとセルフケアの改善を中心とした経過観察が選択されることもあります。一方で、歯周病が進行している場合や、歯のぐらつき、知覚過敏などの症状が強い場合には、より積極的な治療が必要と判断されることがあります。また、審美的な改善を希望される場合には、その目的や期待値も踏まえて治療方針が検討されます。このように、歯肉退縮の治療は「どこまで改善を目指すのか」という目標設定も重要な要素となります。まずは現状を正確に把握し、複数の選択肢の中から適切な方法を選ぶことが大切です。
進行を抑えるセルフケアと“それだけでは不十分な理由”

正しいセルフケアで進行を抑えられるケース
歯茎下がり(歯肉退縮)が軽度で、主な原因がブラッシング方法や生活習慣にある場合には、セルフケアの見直しによって進行を抑えられることがあります。たとえば、歯ブラシの当て方や力加減を適切に調整し、歯ぐきに過度な負担をかけないようにすることで、歯肉へのダメージを軽減できます。また、やわらかめの歯ブラシを使用し、歯と歯ぐきの境目を意識して優しく清掃することも重要です。さらに、歯間ブラシやデンタルフロスを併用することで、歯と歯の間の清掃性を高め、歯周環境の改善につながります。このような基本的なセルフケアは、歯肉退縮の進行を防ぐうえで欠かせない要素です。ただし、すでに歯ぐきが下がっている部分を元の状態に戻すというよりも、「これ以上悪化させないための対策」としての意味合いが強いことを理解しておく必要があります。
間違ったケアが歯肉退縮を悪化させる可能性
一方で、自己流のケアや誤った方法が、歯茎下がり(歯肉退縮)を悪化させてしまう可能性もあります。特に多く見られるのが、力を入れすぎたブラッシングです。「しっかり磨こう」という意識が強いほど、無意識のうちに強い力で歯ブラシを当ててしまい、歯ぐきを傷つけてしまうことがあります。また、硬い歯ブラシの使用や、同じ部位を過剰に磨く習慣も、歯肉の摩耗を引き起こす要因となります。さらに、知覚過敏の症状を避けるために歯磨きを控えるようになると、プラークが蓄積しやすくなり、歯周病のリスクが高まるという悪循環につながることもあります。このように、セルフケアは重要である一方で、方法を誤ると逆効果になる可能性もあるため、正しい知識に基づいたケアが求められます。
セルフケアだけでは対応が難しい状態の見極め
歯茎下がり(歯肉退縮)の中には、セルフケアだけでは対応が難しい状態も存在します。たとえば、歯周病が進行している場合や、歯を支える骨の減少が伴っているケースでは、歯科医院での専門的な治療が必要となることがあります。また、歯の根元が大きく露出している、知覚過敏の症状が強い、歯のぐらつきがあるといった場合も、セルフケアのみでの改善は難しいと考えられます。さらに、噛み合わせや歯ぎしりといった力の問題が関与している場合には、その原因に対する評価と対応が必要です。これらは見た目だけでは判断が難しく、専門的な検査を通じて初めて把握できることが多いものです。そのため、「自分でできる範囲」と「専門的な対応が必要な範囲」を適切に見極めることが重要であり、気になる変化がある場合には歯科医師に相談することが勧められます。
歯科医院での相談の流れとチェックされるポイント

初診で確認される歯肉退縮の評価ポイント
歯茎下がり(歯肉退縮)で歯科医院を受診した場合、初診ではまず現在の歯ぐきの状態を客観的に評価することが行われます。具体的には、どの部位でどの程度歯ぐきが下がっているのか、左右差や進行の傾向があるかなどを確認します。また、歯ぐきの炎症の有無、出血のしやすさ、歯周ポケットの深さなども重要な評価項目です。さらに、歯の動揺(ぐらつき)や噛み合わせの状態、ブラッシングの癖なども総合的に確認されます。これらの情報をもとに、歯肉退縮の原因が歯周病によるものなのか、ブラッシングや力の影響なのかといった点を整理していきます。見た目の変化だけでなく、その背景にある要因を把握することが、適切な対応につながる第一歩となります。
見た目だけではわからない検査内容
歯茎下がり(歯肉退縮)の状態は、見た目だけでは正確に把握できないことが多いため、歯科医院では必要に応じてさまざまな検査が行われます。代表的なものとしては、歯周ポケットの測定やレントゲン検査があり、これにより歯を支える骨(歯槽骨)の状態や、歯周病の進行度を確認します。また、歯ぐきの厚みや形態、歯の位置関係なども評価されることがあります。さらに、噛み合わせのバランスや歯ぎしりの有無など、力の影響を確認することも重要です。これらの検査によって、見た目には軽度に見える歯肉退縮でも、実際には内部で進行している問題が明らかになることがあります。こうした情報を総合的に分析することで、より適切な診断と対応が可能になります。
治療方針が決まるまでのプロセス
歯茎下がり(歯肉退縮)の治療方針は、初診時の評価や検査結果をもとに段階的に決定されます。まずは原因の特定が行われ、それに応じて基本的な歯周治療やセルフケアの見直しが提案されることが一般的です。その後、経過を観察しながら、症状の改善状況や進行の有無を確認します。必要に応じて、見た目や機能の改善を目的とした追加の治療が検討されることもあります。また、患者の希望や生活背景も考慮しながら、無理のない治療計画が立てられることが重要です。歯肉退縮の治療は一度で完結するものではなく、継続的な管理が求められるケースも多いため、段階的に進めていくことが基本となります。自身の状態を理解し、納得したうえで治療を選択することが大切です。
よくある疑問と不安を整理する(FAQ)

歯茎下がりはどこまで改善が見込めるのか
歯茎下がり(歯肉退縮)に気づいた際、「どこまで元に戻せるのか」という点は多くの方が気になるポイントです。歯肉退縮は、一度下がった歯ぐきが自然に完全に元の位置まで回復するケースは一般的には多くありませんが、原因や進行度によっては見た目や症状の改善が見込める場合があります。たとえば、歯周病による炎症が関与している場合には、歯周治療によって歯ぐきの状態が整い、見た目の印象が改善されることがあります。また、歯ぐきの移植などの外科的処置によって、露出した歯の根元を覆う治療が検討されることもあります。ただし、すべての症例で同様の改善が期待できるわけではなく、歯ぐきや骨の状態、生活習慣などを総合的に考慮する必要があります。現実的には「どこまで改善できるか」は個別に判断されるため、専門的な評価を受けることが重要です。
治療の痛みや期間に関する考え方
歯茎下がり(歯肉退縮)の治療に対して、「痛みが強いのではないか」「どれくらいの期間がかかるのか」といった不安を抱く方も少なくありません。実際の治療内容は原因や症状の程度によって異なりますが、基本的な歯周治療では、歯石の除去やクリーニングを中心とした処置が行われ、これらは必要に応じて麻酔を使用しながら進められるため、過度な負担とならないよう配慮されます。また、歯ぐきの移植など外科的な治療が必要な場合でも、術中の痛みはコントロールされることが一般的です。治療期間については、数回の通院で改善が見込めるケースから、継続的な管理が必要となるケースまで幅があります。歯肉退縮は一度の処置で完結するものではなく、経過観察やメンテナンスを含めた長期的な視点で考えることが大切です。
どのタイミングで受診すべきかの目安
歯茎下がり(歯肉退縮)に気づいた際、「どのタイミングで歯科医院に行くべきか」と迷う方は少なくありません。明確な痛みや腫れがない場合でも、歯が長く見える、歯と歯の間にすき間ができた、冷たいものがしみるといった変化がある場合には、一度相談することが勧められます。特に、症状が少ない段階であっても、歯周病や噛み合わせなどの問題が背景にあることもあるため、早期に状態を把握することが重要です。また、「まだ軽いから様子を見よう」と考えている間に進行してしまうケースもあるため、違和感を覚えた段階で受診を検討することが、結果的に負担の少ない対応につながる可能性があります。歯肉退縮は進行性の変化であることが多いため、気づいた時点で専門家の評価を受けることが、将来的なリスクを抑えるうえでも有効です。
監修:LOTUS DENTAL CLINIC 不動前
所在地〒:東京都品川区西五反田3丁目13-11
電話番号☎:03-6420-3243
*監修者
LOTUS DENTAL CLINIC 不動前
院長 矢野 孝星
*出身大学
岡山大学歯学部
*経歴
・2012年 岡山大学歯学部 卒業
・2012年 東京医科歯科大学歯学部附属病院 研修医
・2013年 東京医科歯科大学大学院 博士課程(歯周病学分野)入学
・2018年 東京医科歯科大学大学院 博士課程修了、歯学博士
・2018年 東京女子医科大学 歯科口腔外科 見学生
・2018年 東京医科歯科大学 歯周病学分野 医員
・2018年 渋谷ハプラス歯科 院長
・2019年 東京医科歯科大学 非常勤講師
・2020年 清水歯科クリニック 勤務
・2022年 LOTUS DENTAL CLINIC 不動前 開設
*資格・所属学会
・日本歯周病学会 会員
・日本臨床歯周病学会 会員
・日本歯科保存学会 会員
・日本口腔インプラント学会 会員
・International Team for Implantology(ITI) 会員
・日本再生医療学会 会員
・日本骨代謝学会 会員
・OSSTEM JAPAN マスターコースディレクター