ヘッダー画像

ブログ

インプラント術式の進化|LOTUS DENTAL CLINIC 不動前|東急目黒線「不動前駅」の歯科

インプラント術式の進化

LOTUSの矢野です。

いつの間にか10月になってしまいました。

最初の3カ月が終わって以降は、時間の流れがどんどん早くなっている気がします。

ルーティンとリズムが整ってきている証拠だと思います。

スタッフありがとう。

 

今日はインプラントのお話です。

私は、インプラントに関して特殊な訓練を受けてきました。

インプラント専門クリニックで分院長をしていたころは、毎日のようにインプラント手術を行っていました。一本のインプラントから、全顎的なインプラント治療、All-on-4、サイナスリフト、GBRなど多くの術式を体得しました。

治療計画の立案から、基本的な外科術式、高度なインプラント治療にいたるまで多くを学ぶことができました。

インプラント治療の根本原理のようなものはインプラント治療が確立されて以降、大きく変わっていません。骨の中に人工歯根を生着させるという面では同じ原理の元で開発研究が行われています。

インプラント本体の表面性状や形態の進化については、各メーカーがしのぎを削る中で何度もシフトが起こってきました。近年のインプラントは、これ以上大きな改良がないくらい良質なものになっていて、5年生存率は95%以上と言われています。

デジタルの面でも大幅にイノベーションが起こっていて、診断やシミュレーションソフトもどんどん便利になってきており、診断と治療の精度が上がってきています。

そのような日進月歩の進化を続けるインプラント業界ですが、そんな中先日体験した症例は、特にインプラント術式における大幅な進歩を実感した症例でした。

患者さんが若いころに事故で左上第一大臼歯を失ってしまった部位に、インプラントを行うという症例です。

上顎の奥歯は上顎洞底線が垂れ込んでいて、骨が薄く、3mmしかありません。

デジタルシミュレーションを行い、骨密度などの計測、インプラントの大きさや長さを選択していきます。

インプラントの平均の長径は10㎜ほどですので、このまま埋入すれば、骨空洞内に貫通してしまいます。そこでこのような症例には通常、サイナスリフトという上顎洞粘膜を挙上して骨を移植する治療を併用します。

しっかりサイナスリフトを行い、骨が再生した後にインプラントを埋入するプランであれば、インプラントの治療期間は平均して10カ月ほどになってしまいます。

サイナスリフトの手術時間も60分から長くて120分ほどかかってしまうことがあります。

そこでできるだけ患者さんの時間的精神的負担を軽減するために、

サージカルガイドを用いたインプラント埋入と、

水流挙上でのサイナスリフトを同時に行うこととしました。

サージカルガイドは、ドリルやインプラント埋入の方向を位置づけるためのもので、術者や条件によるブレがないように使用されます。

コンピューター上で設計され、3Dプリンターで製造されます。

サージカルガイドを装着したまま、ドリリング、サイナスリフト、埋入を一気に行っていくため、患者さんにとっても術者にとってもストレスがありません。スムーズに工程が進んでいきます。

サージカルガイド通りにドリリングを行い、サージカルガイドにそってサイナスリフトを行います。水流で上顎洞粘膜を剥離していくため、粘膜に穴が開いてしまうリスクを下げながら、大幅に挙上することができます。また、通常のサイナスリフトは骨造成の量が多い場合は、顎骨の側壁から穴をあけてアプローチするため、切開の範囲が大きくなり、骨を削る量も増えます。それにより腫れや痛み、内出血、鼻血などの術後の症状が大きく出てしまうことがあります。本症例ではインプラント埋入窩から、アプローチするため、切開線も1cm以内で済みますし、術後の症状も最小限に抑えることができます。

しっかり挙上して骨補填材を移植したあとには、インプラントを埋入します。

骨が薄い症例でしたが、埋入深度も埋入角度もシミュレーション通りの埋入で骨との初期固定もしっかりとれ、造骨治療も同時にしっかり行うことができました。埋入されたインプラントの周囲にしっかりとした不透過像が確認されます(骨材)。

ここまでの所要時間はわずか20分です。

以前と比べれば、大幅な手術時間の短縮が可能になりました。

さらに少しでも患者さんの負担を軽減するため、当院では手術は基本的に静脈内鎮静法(リラックス麻酔)下で行います。緊張感がやわらぎ、精神的負担が軽減されます。

今回の症例のポイントをまとめると、

・歯科用CTを使い、3次元的に精度の高い診断ができる。

・サージカルガイドを使用することで、精度の高い埋入ができる。

・水流挙上を併用することで、侵襲性を抑え、術後の症状を抑えることができる。

・上記のシステム、テクノロジーを利用することで、手術時間、治療期間の短縮が可能となる。

テクノロジーの進歩と研究開発によって、インプラント治療を行う上でのメリットがどんどん大きくなっているのを感じた症例でした。

 

LOTUS 矢野

 

 

 

pagetop